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父のその後。

暮らし/その他

結論から言えば、まだ入院している。

治療という点では一段落ついているのだけれど、足腰立たない状態なのだ。
リハビリを嫌がってあまりしていないようである。予想はしていたが。

食っちゃ寝をしていれば満足だった人間が、いまさら人に指図されてそんなシンドイことする訳ないのである。なげかわしい。衰えていくばかりじゃないか。

しかしながら大学病院というところは救命治療優先の病院なので、いつまでも置いてもらえない。

当初の退院目標である3週間が経った頃に、今後どうするかについて話があった。

介護認定を取って在宅介護サービスを受けることとか、リハビリ病院へ転院するかとか提案があった。

いよいよ我が家にも介護問題がやって来た。

だが、狭い家の中を車椅子なんか通れやしないし、介護ベッドなんていうドデカイ物を置く余地も無い。

物理的問題はもとより、足腰立たない年寄りに帰宅されても面倒見きれない。
家族の精神的にも体力的にも無理がある。

決してタフでは無い母の方が参ってしまって倒れてしまいかねない。そっちの方がダメージが大きい。

覚悟が足りないと言われれば返す言葉も無い。

が、家族共倒れになることが目に見えているのにわざわざ茨の道を選ぶのも違うだろう。

とりあえず転院してもらうことにしよう。

現状でリハビリしたがらない人が、リハビリ病院へ行ったとて今さら回復するとは思えないが。

だから遅かれ早かれ、次はそこの関連の老人施設へ移されることになる、という流れだ。

そして昨日、転院先の病院へ話を聞きにいってきた。

今病院ではコロナの厳戒態勢をとっていて人の出入りを制限しているので、本来は面談室へお通しするところですが…と言われ、1階ロビーの休憩スペースに案内された。

病室の見学も出来ないということで、1階にあるリハビリ部屋だけ廊下からガラス越しに見せてくれた。

数人の爺さんがジムの筋トレのようなことをしていたが、やっぱり父はこんなことしないだろうなぁと思った。もともと体を動かしていた人じゃないと進んでやらないだろうな。

転院の時期についても、受け入れは3月中旬になるだろうということで。

名古屋でも感染者が増えているからなぁ。仕方ないね。

置いてもらえる所があるだけ有難いと思わねば。

私自身も今時、何度も病院を出入りするのは気分が悪い。とりあえず現状維持である。

うーん。

さて、つまり父はもう家に帰っては来れないということになるんだな。おそらく。

何だかんだありながらも今までは、最終的にはどこも悪い所は無いという結果に落ち着いて来た父だが、今後はただただ老いていくのを見るばかりになるのだろうか。

一ヶ月の入院で元気になるどころか、5歳くらい老けてしまったような印象だ。

歳をとってすっかり偏屈ジジイになってしまっていた父も、最初の頃は看護師さんに愛想よくしていたが、もう化けの皮が剥がれて横柄な態度が出ているようである。退屈な毎日なんだろう。この先どうなるのかなあ。

 

私は年寄りが老いていく姿というのを見たことが無い。

自分の祖父母が亡くなる前の様子を知らない。

祖母は二人とも、私が生まれる前に60代で亡くなっている。

祖父は、高校2年の時と23歳の時に80代で亡くなった。

小さい頃は夏休みには帰省をして会っていたが、中学に上がってからは部活命で、法事でも無ければ田舎へ行くことも無くなった。親戚の中でウチの家族だけが離れていて、大きくなるにつれ縁遠くなっていた。

だから亡くなる前の数年間がどんな暮らしぶりだったのか、全くわからない。

母方の祖父は、前の晩までいつも通りに晩酌もして、朝になったら起きてこなかったとイトコから聞いている。

へー、そうなんだ。としか思っていなかった。全く実感が無かった。

葬儀のときも、こんな顔だったかなあ? という感想程度で悲しいという感情も無かったくらいだ。薄情な孫である。

今思えば、いつも通りとはどの程度元気だったのだろうか。

今、自分の親が老いてきてどのように接したら良いのかわからない。

もっと父に対して何か出来ることがあるのではないのか、という罪悪感も無くは無いが。

自分は、今はただ平穏な日常に務めるばかりである。

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