1975年にウルトラマンレオと仮面ライダーストロンガーが終了し、長く続いたシリーズが途絶え特撮2大ヒーローが不在となった70年代後半に、特撮とアニメが融合した画期的な作品が存在した。
特撮とアニメの融合
恐竜探検隊ボーンフリー(1976)
全25話
制作:円谷プロダクション
アニメーション制作:日本サンライズ
【ストーリー】
地球に接近した彗星の影響で地殻変動が起こり、地下から恐竜が生息する大地が出現した。しかし突然の環境変化に適応出来ず死んでいく恐竜を救うため、国際自然保護連合は「ボーンフリー隊」を結成した。
(※このDVDジャケット画はカッコ良過ぎだ)
人物はをセルアニメで描き特撮と合成するという意欲的な作品の誕生である。
恐竜は模型を少しずつ動かしてコマ撮りするモデルアニメーション方式で撮影されている。
モデルアニメーションといえば粘土を使ったクレイアニメがよく知られているかな。
(『ピングー』とかヤクルト ミルミルのCMとかをよく見かけたね)
だけど全編その方式なら気にならないが、特撮の中に混じっていると恐竜のぎこちなさが目立ってしまうのが、いま改めて見ると残念な感じ。
さて、この番組は特撮なのか?アニメなのか?
人物がアニメ描写なのでドラマ展開はアニメであるが、制作が円谷プロだしオープニングが特撮でエンディングがアニメなので、どちらかと言えば特撮にカテゴリーされるだろうか。円谷プロは「立体アニメ」と称したが。
恐竜大戦争アイゼンボーグ(1977)
全39話
制作:円谷プロダクション
【ストーリー】
絶滅したと思われていた恐竜は、超能力を持ち地球内部で生息していたが、地上を征服するため人類を攻撃しはじめた。事故で重傷を負いサイボーグとなった立花善と愛の兄妹は、対恐竜プロジェクト「D戦隊」の仲間と共に恐竜軍団に立ち向かう。
『恐竜探検隊ボーンフリー』に続いて「円谷恐竜三部作」第2弾。
前作と同様、人物アニメと特撮の合成作品。モデルアニメーションによる恐竜描写は費用とスケジュールを圧迫したため、今作では円谷プロお得意の着ぐるみ撮影となった。
善と愛は「アイゼンクロス」によってアイゼンボーグマンに、そして戦闘車両アイゼンⅠ号はアイゼンボーグ号へと、なんだかよく解らないややこしい変身をする。
番組後半ではそこからさらに巨大ヒーロー「アイゼンボー」に変身するようになった。
恐竜が保護対象であった前作の地味さを払拭し恐竜との対決番組となり、遂には巨大ヒーローまで登場してしまい特撮色が強くなった。
エンディングはキラキラ背景にシルエットという、ウルトラシリーズ風の映像になっている。
そして次の「円谷恐竜三部作」第3弾『恐竜戦隊コセイドン』(1978)は、アニメ合成は無くオール実写作品である。
ウルトラシリーズが途絶えた1975年には奇しくも戦隊ヒーローの元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』がスタートしており、時代はもはや等身大ヒーロー真っ盛り。円谷の「立体アニメ」も巨大ヒーローも立ち消えた。
特撮番組にアニメを挿入パターン
『ボーンフリー』と同時期に特撮とアニメを併用した円谷作品がもうひとつあった。
プロレスの星 アステカイザー(1976)
全26話
原作:永井豪・石川賢
制作:円谷プロダクション
【ストーリー】
世界征服を目論む邪悪なレスラー軍団「ブラック・ミスト」によって兄を殺された鷹場俊は、正義の戦士アステカイザーとなってサイボーグ格闘士と闘う。
異色のプロレス特撮ヒーローである。
実写バトルシーンのクライマックスで「カイザー・イン!」の掛け声でアニメに切り替わり、ダイナミックな必殺技の描写がインパクトを与えた。
この作品、円谷プロだったんだね。てっきり東映だとばかり思い込んでた。
円谷プロが意欲的に試行錯誤していた時代だったと言えよう。
アニメに特撮シーンを挿入パターン
科学冒険隊タンサー5(1979)
全34話
制作:日本サンライズ
特撮制作:特撮研究所
【ストーリー】
世界各地の遺跡で起こる怪奇な事件の謎を解くため、科学冒険隊タンサー5の五人はタイムタンサーで時空を超え、水陸空に対応した3機のタンサーマシンを駆使し謎に挑む。
『ボーンフリー』でアニメを担当したサンライズ制作。
メカニック登場シーンに特撮を挿入した、ほぼアニメ作品である。
この年サンライズはアニメ版ウルトラマン『ザ☆ウルトラマン』を制作している。
さらにサンライズの看板番組『機動戦士ガンダム』もスタートしており、時代は空前のアニメブームへと移り行くのであった。