古い書籍をタダ読み出来る電子書籍サービスといえば「青空文庫」というのがある。
これは著作権の切れた小説などが、ボランティアの手によって電子データ化され公開されているものである。
似たようなサービスで「マンガ図書館Z」というのがあるのはご存知だろうか。
絶版になってしまったマンガや単行本化されなかった幻のマンガを、作家さんの許諾の元で公開し、広告収益の100%を作家さんに還元するという画期的なシステムとなっているのである。
ときどき利用させてもらって懐かしいマンガを読んでいるのだが、驚きの作品が公開されていた。
黄金バット
黄金バットといえば、70年代によく再放送していたアニメを観ていた。
本放送は1967年から1968年にかけて。生まれる前の作品だ。
もうあまり覚えていないが、黄金バットの高笑いと、金髪の女の子が「コウモリさん、コウモリさん」と助けを呼ぶ声と、悪者のナゾーが「ローンブローゾー」という謎の言葉を叫んでいたのが強烈に記憶に残っている。
元々は戦前に街頭紙芝居で人気を博した正義のヒーローであった、ということは知っていたが当然ながらはっきり見たことは無い。
さて、本題の「マンガ図書館Z」に公開された作品がこれである。
ぎゃぁぁぁぁぁ〜!
こえぇ〜よぅぅぅ……
アニメ版もたいがい怖い風貌してるけど、これは強烈だわ。
いくら正義の味方だといわれても、こんなん出てきたらチビるで。
これは戦後の1947年に刊行された作品で、マンガというよりは絵物語といった作風となっている。
物語は、富士山のふもとの畑から土器のかけらが発掘されたことから始まる。
土器には解読できない絵文字が刻まれていた。
その発掘品は、謎のガイコツ男が率いる黒装束の「黒バット団」に奪われてしまった。土器にはお宝の秘密が隠されていたのだ。
それを追う探偵とその息子。しかし探偵と妻は黒バット団に捕われてしまう。
息子は、発掘現場で兄が行方不明となった少女と協力して捜索することに。
「地主のおじさんに助けてもらいましょう」とおもむろに登山を始める2人。
そこに現れたのは……
「蛇王」おじさん
???
古事記の神話に出てきそうな野性味あふれる風貌のおじさんが、ターザンみたいにライオンを従えて登場!
このおじさんの大活躍で黒バット団はコテンパン。
あれれ?「黄金バット」を読んでたんじゃなかったっけ?
おじさん何者?
すると突然メカ恐竜が出てきて黒バット団は逃亡。探偵も連れ去られた。
親分のガイコツ男は蛇王によって重傷を負い、両足を失った。
「これからはみみずく型の覆面をして、名前もナゾーとしよう」
こいつがナゾーか!
足が無いからアニメ版では円盤に乗ってるのか、なるほど。
で、黄金バットはどこに?
蛇王は「この上は黄金バットにたのもう」と言って、山の上にある「どくろ岩」を叩き割った。
中から現れたのは表紙のアレ。
正義の神、黄金バット!
いや、怖ぇぇし!
この後もすごい展開で、唐突に(バビル二世の)ロプロスみたいに翼竜が現れてメカ恐竜と戦うし、地下の未来都市から地底人は出てくるしロボットは出てくるし、挙げ句の果てには宇宙人まで!
もう何でもありな展開、むしろ黄金バットの影が薄くなるくらい、すげぇわ!
セリフのフキダシがどこから読んでいいのか分かりにくくて読み辛かったけど、なかなか面白かったわ。
黄金バット(永松健夫・明々社版) | マンガ図書館Z – 全巻無料で読み放題
ちなみにこの1947年版の後に、別の作家によって描かれたシリーズがアニメ版の底本となっているようだ。
もう一度アニメ観たいなーーー!
マンガ図書館Z
「マンガ図書館Z」は絶版マンガを公開しているとはいってもここまで古いのは珍しく、大半はフツーに懐かしいマンガが読めるので利用してみてはいかがだろうか。
実写版も怖いぜ…