【2024.4.16更新】
シャーロック・ホームズといえば誰もが知っているであろう名探偵。
小さい頃に図書館で目にしたことのある人は多いでしょう。
ドラマや映画も大ヒットしましたが、原作をちゃんと読んだことのある人は少ないかもしれません。
児童書だけで終わりにしてはもったいない!
ですが、いざ読もうとするといろんな出版社から出ていますし、どの本から手をつければ良いのか分かりづらい。そこでナビゲートさせていただきます!
まずはラインナップのおさらい(発表順)
- 緋色の研究(緋色の習作)_[長編]
- 四つの署名(四つのサイン)_[長編]
- シャーロック・ホームズの冒険_[短編集]
- シャーロック・ホームズの思い出(回想のシャーロック・ホームズ)_[短編集]
- バスカヴィル家の犬_[長編]
- シャーロック・ホームズの帰還(生還/復活)_[短編集]
- シャーロック・ホームズ最後の挨拶_[短編集]
- 恐怖の谷_[長編]
- シャーロック・ホームズの事件簿_[短編集]
※出版社によって表記が少し違います。
イギリスの小説家アーサー・コナン・ドイルが1887年に『緋色の研究』を発表。1891年に雑誌に短編が連載されてから人気に火がつきました。
日本での翻訳は、明治27年(1894年)には雑誌に短編が掲載されたことが確認されています。
『緋色の研究』にはホームズとワトソンの出会いが書かれているので発表順に読むのが妥当ですが、長編から入るのはハードルが高いという人は、有名な短編「赤毛組合」や「まだらの紐」が入っている第1短編集の『冒険』からがオススメです。
ストーリーは時系列順には並んでいないので、どの話から読んでも良いのですが唯一注意が必要な順序があって、第2短編集『思い出』の「最後の事件」を読んでから第3短編集『帰還』の「空き家の冒険」を読む、という順序だけは気をつけてください。(いきなり最後の事件から読む人はいないとは思いますが、なるべくなら初期の何話か読んだ後でお楽しみくださいね。)
入手しやすい文庫本
私が持っているのは新潮文庫、光文社文庫、ちくま文庫、河出書房新社のハードカバー。(その後さらにKindleで創元推理文庫の新旧をコンプリート、角川・ハヤカワにも手を出し始めました。)
出版社によって翻訳が違うのでいろいろ読んでみたくなるのです。
現在入手しづらい物もあるのでオススメはこちら。
【新潮文庫】延原謙/訳
私が大人向けの原作を読み始めた頃の定番は新潮文庫でした。
文体が古く取っ付きにくいかもしれないが、19世紀末の時代感にひたれるのでオススメ。古さゆえに誤訳も指摘されていたが、ホームズの翻訳といえば延原訳が定番。
現行版はご子息の延原展が改訂したものなので、昔より多少は読みやすくはなっている。
※新潮文庫の短編集は収録作品が少しずつ削られており、収録されなかった短編はオリジナルには無い『シャーロック・ホームズの叡智』という短編集を独自に設けてまとめられているので、本来は全9冊なのだが新潮文庫では全10冊となっています。
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【光文社文庫】日暮雅通/訳
翻訳が新しくとても読みやすい。解説なども興味深く入門者にはありがたい。
【創元推理文庫】旧版:阿部知二→新訳版:深町眞理子/訳
現在[新訳版]へ切り替わり中なので書店によっては旧版と新版が混在しているかもしれないので注意。装丁が違うのですぐ分かる。
【追記】深町眞理子訳の【新訳版】が出そろったのでオススメです。
新訳版シャーロック・ホームズ・シリーズ(創元推理文庫)のAmazonサイトへ
その他の文庫
【河出文庫】小林司・東山あかね/訳
翻訳が若者向けでやさしく読みやすい。しかし書店での取り扱いは少ない。
ハードカバー版で充実していた注釈は文庫では半減しているようで残念。
挿絵は他社の文庫よりたっぷり楽しめます。
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【新刊情報】入手困難だったハードカバー版が、ソフトカバー新装版となって復刊しました。
【ちくま文庫】
ちくま文庫は解説・注釈が満載のコアなファン向けで、収録順も時系列順に並べ替えられている特殊な編集。初心者にはとっつきにくい。しかも入手困難。深掘りしたくなったら探してみてほしい。
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【ハヤカワ・ミステリ文庫】
ハヤカワ・ミステリ文庫は書店ではなかなか見つからないが、現在は電子書籍で読める。
シャーロック・ホームズ シリーズ(ハヤカワ・ミステリ文庫)のAmazonサイトへ
【角川文庫】
角川文庫は全巻出ていないので、全話コンプリートしたい方には今はおすすめしない。
2021.9.18に短編集『事件簿』が発売され、ようやくシリーズ完結となりました。
ただし訳者が統一されていないのが気になる人がいるかも。
新訳版シャーロック・ホームズ シリーズ(角川文庫)のAmazonサイトへ
この他に、昔の角川文庫において鈴木幸夫が訳したものがKindleで上下巻の合本になっている。
新しい翻訳の方が読みやすくなっているのは間違いないが、古めかしい翻訳で時代を感じるのもまた良い。
30年前には全話すべて読める文庫は新潮文庫だけだったし、どこの書店にも置いてあったので私が最初に買ったのは新潮文庫でした。久しぶりに本棚の奥から出してみたら活字の小ささに驚いた。昔の文庫は字が小さい!
わー!また読み直したくなってきた!