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『シャーロック・ホームズの古典事件帖』が素晴らしい!

ミステリ

今朝、12月に注文していた本が届いた。

嬉しさのあまり珍しくツイートしてしまった。

 

12月の初旬にAmazonのサイバーマンデーセールで、年内に発売される書籍を5,000円以上購入すると800円分の書籍用クーポンがもらえるキャンペーンをやっていた。

ちょうど年末発売予定のホームズ本をまだ注文していなかったので、これ幸いと発売済みでまだ買っていなかった文庫本も合わせて5,000円以上になるようにホームズ本をまとめ買いした。

ところが!

年末発売予定だった『古典事件帖』が発売延期になってしまったのだー!

うっそ! マジで?

え? じゃあキャンペーン対象外になっちゃうの? えー?

しかも延期しただけじゃなく、3,5oo円ほどだった価格が4,860円に値上がりしていて2度ビックリ!

お得な買い物が出来たと思っていたのに…

と、年末はすっかり気落ちしていたのだが、先日ちゃんと800円分のクーポンコードが送られてきたのだ。

価格も予約時の安い価格で買うことが出来た。

Amazonは予約から発送(発売日)までの間に価格変動があっても、その期間の最低価格で購入することが出来る「予約商品の価格保証」があるのだ。

おかげで1,000円以上も安く新刊を買うことが出来てしまった。
いや、クーポンももらえて2,000円も得しちゃった。超絶うれしー!

さて、待ちこがれた本の内容はというと。

『シャーロック・ホームズの古典事件帖』

シャーロック・ホームズは1887年(明治20年)に発表された長編『緋色の研究』で初登場した。

ホームズ物語は日本でも明治時代には既に翻訳されて読まれていたのである。

明治時代に訳されたホームズ本の存在は、ホームズ研究本で言及されている書名だけはいくつか知っていて、非常に興味を持ちいつか読んでみたいと長年思っていた。

しかし、そんな筋金入りの古書を手に入れるのはハードルが高すぎる。

2001年に『明治期シャーロック・ホームズ翻訳集成』という本が出たが、3巻セットで50,000円というこれまた高嶺の花であったので諦めていたのだけれど。

ようやく念願かなって、明治・大正時代のホームズ翻訳を厳選した珠玉の1冊が刊行されたのである。

当時の翻訳は、原作を忠実に再現したものではなくアレンジが加わっているものが多く、舞台を日本に置き換えている「翻案」と言われるものもある。そこがパロディを読むような面白みがあるのだ。

【収録作品】

乞食道楽(明治27年/訳者不詳)

原作「唇のねじれた男」が1891年12月に発表されてからわずか2年余りで本邦初のホームズ和訳が出現している。古めかしい文体が読みづらいけれど、そこが味わい深いのである。

ホームズとワトソンの名前は「ホームス」「ワットソン」

暗殺党の船長(明治32年/南陽外史訳)

原作は「五つのオレンジの種」。「不思議の探偵」シリーズとして短編12編が翻訳された内の1編。

人名・地名は日本名に変えられており、ホームズとワトソンは「大探偵」「医学士」とだけ書かれている。

新陰陽博士(明治33年/原抱一庵訳)

原作は長編「緋色の研究」。本編後半の過去回想部分は大幅カットされ簡単な説明になっている。

名前は英名だが、カタカナだったり漢字があてられていたりする。ホームズとワトソンは「ホルムス氏」「エッチ、和杜遜(ワットソン)」

快漢ホルムス 黄色の顔(明治39年/夜香郎=本間九四郎訳)

原作は「黄色い顔」。おおむね原作どおりに訳されている。
ホームズとワトソンは「ホルムス」「ワットソン」

禿頭組合(大正2年/三津木春影訳)

原作は「赤毛連盟」。日本の話に書き換えられている。「赤毛連盟」を「(文中では)若禿組合」とは面白い。

ホームズとワトソンは「上泉(こうずみ)博士」「中尾医学士」

ホシナ大探偵(大正2年/押川春浪訳)

原作は「レディ・フランシス・カーファクスの失踪」。日本の話に書き換えられている。

ホームズとワトソンは「保科鯱男(ほしなしゃちお)」「渡邉」

肖像の秘密(大正4年/高等探偵協会編)

原作は「六つのナポレオン」。これも日本に置き換えたパターン。冒頭に「緋色の研究」でのホームズとワトソンの出会いの場面が書かれている。

ホームズとワトソンは「緒方緒太郎」「和田義雄」

ボヘミア国王の艶禍(大正4年/矢野虹城訳)

原作は「ボヘミアの醜聞」。短編集『シャーロック・ホームズの冒険』の12編全てを初めて収録した単行本『探偵王 蛇石博士』の中の1編。地名は英名のままだが人名が日本名に変えられている。

ホームズとワトソンは「蛇石 大牟田(じゃせき おおむた)」「和田医学士」

毒蛇(大正5年/加藤朝鳥訳)

原作は「まだらの紐」。『シヤロック・ホルムス』として全3巻刊行された内の1編。
ホームズとワトソンは「ホルムス」「ワトソン」

書簡のゆくえ(大正6年/田中貢太郎訳)

原作は「第二のしみ」。日本の話に書き換えられた翻案である。

ホームズは「山中清作」ワトソンの存在はほぼカットされている。

十二時(大正7年/一花訳)

原作は「ライゲイトの大地主」。人名は日本名だが舞台は「羽田大佐」の別荘があるアメリカ南海岸となっている。

ホームズとワトソンは「伊村」「相川」

サン・ペドロの猛虎(大正12年/森下雨村訳)

原作は「ウィステリア荘」。名前などの改変の無いきちんとした翻訳であるが、時代的に誤訳は避けられない。

這う人(大正12年/妹尾アキ夫訳)

原作は「這う男」。冒頭の部分が省略されてはいるが、概ね忠実な翻訳。

 

書かれた年代が新しくなるにつれ、段々と読みやすい文章になっていく。

とても貴重な読書体験が出来る素晴らしい1冊である。

正月にブログで「今年は良いことありそうだ」と書いたが、早速とても良い買い物が出来て気分はサイコーである。

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